日本の歴史上でみんなに一番語られる人物(大河ドラマで主役3回その人物は?)

多様性の時代と言われて久しくなりますが多くの人がそれぞれの趣味を持ち、いろんなものに興味を抱き、さまざまなものを好きになる時代の中で、日本の歴史上でみんなに一番語られる人物やストーリーは何になるのでしょうか?

ここでは多くの人が共通に楽しめるメディアであるテレビの中から長寿番組であるNHKの大河ドラマにおいて、どの人物がもっとも多く主役として取り上げられているのかと、同様に長寿番組である民放の大衆娯楽歴史ドラマの三つをご紹介したいと思います。

併せて、なぜ日本人に受けるのかも考えてみたいと思います。

NHK大河ドラマで最も主役として取り上げられている回数が多いのは誰か?

出典元:こちら

1位:大石内蔵助(おおいし くらのすけ)3回
2位:源義経(みなもとのよしつね)2回
同率2位:徳川家康(とくがわいえやす)2回
同率2位:豊臣秀吉(とよとみひでよし)2回
同率2位:坂本龍馬(さかもとりょうま)2回

NHK大河ドラマで3回も作られている主人公の話とは?

主人公は、大石内蔵助(おおいし くらのすけ)

出典元:こちら

主人公は大石内蔵助(おおいし くらのすけ)です。

赤穂藩家老の長男として生まれ自身も21歳のときには赤穂藩の筆頭家老になりました。

普段は温厚で平凡な人だったようで、ついたあだ名は「昼行燈」(ひるあんどん)。
昼間は照明は必要がありませんから、いてもいなくても同じの役立たずと噂されていたわけです。

しかし、やるときはやる人で危機に陥ったときの冷静さ、人をまとめていく統率能力、計画性、実行性を備えた極めて優れた人物で歴史上よく語られるというだけでなく日本人的経営者の見本として多くのビジネスマンの話題にものぼる人物です。

どんな話なのか?

ときは5代将軍徳川綱吉(とくがわつなよし)の時代です。

事件が起きたのは1701年3月、幕府の一年間の行事で最も大切な儀式のひとつである朝廷からの勅使をもてなす日でした。

儀式に出席するため、赤穂藩主(あこうはんしゅ)浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)江戸城本丸の大廊下(松の廊下)にいました。

松の廊下で内匠頭は自身の儀式など作法の教官役で、今まで意地悪く自分をいじめてきた吉良上野介(きらこうずのすけ)が他の出席者と立ち話をする後ろ姿を見かけたのです。

瞬間的に頭にきた浅野内匠頭は、脇差を抜いて吉良上野介を後ろから切りかかります。
額と背中に傷を負わせた内匠頭でしたが、次の瞬間取り押さえられたためとどめをさすにはいたりませんでした。

脇差は相手を刺すための武器であり、脇差を振り上げてしまったのは内匠頭が怒りで熱くなってしまっていたからだと言われています。

この内匠頭に対しての処罰は極めて厳しいものでした。
大切な儀式を台無しにされたと将軍綱吉は激怒し、内匠頭はその日の内に切腹を命じられこの世を去ったのでした。

この知らせを聞いた赤穂藩士は、驚き悲しみました。
赤穂藩の江戸屋敷や赤穂の町人たちのあいだにも、いろいろなうわさが飛び交います。
赤穂藩内の幕府に対する不信感と怒りも高まっていきます。

  • 喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)が原則の中、なぜ吉良上野介はおとがめなしなのか?
  • まず御家再興(おいえさいこう)を目指すべきではないか?
  • 籠城して幕府と断固戦うことを主張する者もいました。

赤穂藩と取引のある両替商をはじめとする商人たちは赤穂藩への取り立てを開始します。

連日続く会議の中、大石内蔵助は藩士たちのさまざまな意見を聞いていましたが、まとまる方向性は見いだせないままでした。

内匠頭の判断は、幕府に城を明け渡し藩士一同が開城の際に切腹するというものでした。

実際に赤穂藩はとりつぶしになり収入源がなくなり切腹した方がマシだと考えていた藩士も少なくなかったようです。

結果として、城は幕府に明け渡しものの藩士がその場で切腹して絶えるということにはなりませんでした。

まだ、浅野家の御家再興(おいえさいこう)の可能性があったためです。
この時点で、赤穂藩士の選択肢は絞られていきます。

御家再興が叶わない場合には、吉良邸に討ち入ることも案のひとつでした。

吉良家及び幕府の赤穂藩への特に大石内蔵助へのマークもきつくなっていきました。

6月、赤穂  花岳寺(かがくじ)での法要を終えると大石内蔵助は京都の山科で隠棲を始めます。

しかし、11月内蔵助は江戸にいました。
吉良上野介の屋敷に討ち入ることの起請文を書き一同で連判したのでした。

12月13日 赤穂藩士46名は めいめい江戸泉岳寺(せんがくじ)の内匠頭の墓に詣でたあと夜半に本所の三ヵ所に集合して武装すると、12月14日午前四時 吉良邸の表と裏門より襲撃して吉良上野介を打ち取ります。

しかし、翌1703年幕府の命により内蔵助を赤穂家46士は切腹しこの世を去ったのでした。

民放の大衆娯楽歴史ドラマの三つとは?

出典元:こちら

TBS系列で放送されていた午後8時からの大衆ドラマ

「パナソニック」の社名がまだ「ナショナル」だった時代から長く放送されていたのが

1)「水戸黄門」(主人公:水戸光圀)
2)「大岡越前」(主人公:大岡越前)
3)「江戸を斬る」(主人公:遠山金四郎)

の三つです。

どれだけ長く放送されていたのか?

この三つのドラマの中でも最も長く放送されたのが「水戸黄門」(みとこうもん)でした。

1時間枠の番組で「水戸黄門」は、シーズン1からシーズン43まで制作されました。

シーズン1が放映されたのが、1969年8月4日。
シーズン43の最終回スペシャルが放送されたのが2011年12月19日。

同じ枠で、「大岡越前」「江戸を斬る」が放映されることはあったものの、「水戸黄門」は40年以上お茶の間に登場し多くの人を楽しませてきたのです。

放送回数はシーズン43の最終回スペシャルまで実に1227回。

このドラマは1クール約20話から30話で制作されてきましたが、NHKの大河ドラマは1年間で約50回。

1227を50で割ると24.5です。
大河ドラマ換算でいうと20年以上黄門様と呼ばれる水戸光圀を主人公のドラマを見続けてきたことになります。

 

シーズン43まで制作された民放テレビドラマとは?

主人公は、徳川光圀(とくがわみつくに)

出典元:こちら

主人公は、徳川光圀(とくがわみつくに)

30代より28万石の水戸藩の第2代藩主を務めましたが60代前半で隠居の身となりました。
祖父は初代将軍の徳川家康

光圀は『大日本史』を編纂したことでも有名です。

ドラマはどんな話?

テレビドラマは主人公、黄門様の隠居後の話でめっぽう腕の立つ助さん(佐々木助三郎)と格さん(渥美格之進)そして八兵衛をお供(おとも)につけ町人姿で諸国を旅します。

黄門様は道中では「ご隠居」と呼ばれ、助さんや格さんからは「ご老公」と呼ばれることもありました。

黄門様は、第三者から名前を尋ねられると「越後のちりめん問屋の隠居  三右衛門(みつえもん)でございます。」と答えることにしていました。

道中で困った人や事件に巻き込まれると、相手が小悪であれ、中悪であれ、大悪であれ悪者の本拠地に光圀主従が乗り込んで行って、助さんと格さんが悪者をバッタバッタとなぎ倒します。

黄門様と八兵衛は助さんと格さんの少し後ろに立ち、黄門様は片手で杖を持ち二人の戦いを見ていますが、ときどき黄門様に敵が近づいてくるときは黄門様は器用に杖を刀代わりにして応戦します。

それでも危機に陥ると、黄門様が親しくしている忍びの者がやってきて助けたりもします。

いつも8時45分くらいから戦いが始まるようになっていました。
ひとしきり戦いが終わると、格さんが前へ出て大きな声でいいます。

「控え! 控えおろう。」

悪者たちも戦いを中断して格さんの方を注目します。
格さんは、おもむろに懐から印籠を取り出します

そして、黄門様はスタスタと中央に寄っていきます。
格さんが懐から出した印籠がアップになります。
ここでお決まりな音が入ります。「じゃーん」
三つ葉葵(みつばあおい)の徳川マークの印籠です。

格さんは続けます。
「ここにおわす方を、どなたと心得る。
恐れ多くも先(さき)の副将軍、水戸光圀公にあらせられまするぞ。」
黄門様がアップになり荘厳な音楽が流れます。

悪者たちは、恐れ入り土下座して「ははぁー」と叫びます。

エンディングは、光圀主従が次の目的地に向かっていくところで終わります。

まとめ

大石内蔵助も徳川光圀にしても生きた時代は江戸時代です。

現代は多様性の時代であり、いろいろな価値観で溢れていますが、江戸時代には、統治する側も統治される側にもある一定の価値観が共有されていました。

その一つが儒学の思想でした。

忠(君主関係)や孝(親子関係)などの考え方が尊ばれ、「仁」「義」「礼」「智」「信」などの信念を持って生きていくことがよいとされていたのです。

大石内蔵助ら赤穂藩士たちは、忠義を守り抜いたヒーローであり、黄門様は、この儒学の精神から外れた人間を退治する愛情深い正義の人として人々に支持されたのです。

大石内蔵助ら赤穂藩士たちは幕府の命で最後に切腹することになりますが、潔く散ったからこそ、その後もヒーローであり続けることができたのだと思いますし、日本人のウェットな感情にフィットしているのだと考えています。

ドラマ「水戸黄門」については、効果音や音楽のあてかたの面でも極めて優れていた作品だと考えています。

危機が起きた時の音、楽しいときのリラックスした音、戦うときの音、盛り上げる音、威厳を示す音など、このドラマを見続けている人達には、どの場面でどんな音楽や効果音がでるのかすぐにわかるようになっています。

決まった台詞が毎回出るのも楽しいですね。

これらの音の使い方や、きまり文句を繰り返す手法は、1990年代に大ヒットした「月9」のドラマなどにも引き継がれていきます。

「東京ラブストーリー」、「ロングバケーション」、「ラブジェネレーション」や「やまとなでしこ」でも、この場面ではこのミュージックが流れ、この決まり台詞を言うだろうと、視聴者にもわかる作りでした。

平日の夕方ごろから「月9」の再放送をつい見てしまうのと同様、ときどき「水戸黄門」の再放送を見てしまうのは私だけでしょうか?