【歴史上の女性】好きな人物ランキングTOP10! 番外:外国人が尊敬する日本人女性

皆さん、「歴史上の日本人女性で誰を尊敬しますか?」そんな質問を受けたらどう答えますか。

もし、10歳以下なら「お母さん」とか「担任の先生」とか答えるのでしょうけれども、社会人としては即答できない方も少なくないのではないかと思います。

今回は、ネットで探してみた中で、雑誌「歴史街道」を出版しているPHP社が出しているネット記事「好きな歴史上の女性 ランキング」と2018年1月にテレビ朝日で放送された番組「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」の中から外国人が尊敬する日本人ランキングベスト50の内、女性でランクインしたのが誰なのかをお伝えしたいと思います。

併せて、尊敬される日本人女性にはどんな特徴があるのかも考えてみたいと思います。

はたして、雑誌社のアンケートとTV番組の外国人が答えたランキングの両方でノミネートされている人がいるのでしょうか?
もし両方でランクインしていれば、なぜなのかも考えてみたいと思います。

好きな歴史上の女性人物 ランキング @PHPアンケートの結果

ランキング(ベスト10)

第1位 卑弥呼(ひみこ)/邪馬台国           16.1%
第2位 紫式部(むらさき しきぶ)/平安時代       9.9%
第3位 北条政子(ほうじょう まさこ)/鎌倉時代     7.4%
第4位 おね(ねね、北政所)/戦国時代          4.6%
第5位 天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ)/幕末      4.1%
同5位 小野小町(おのの こまち)/平安時代       4.1%
第7位 巴御前(ともえ ごぜん)/平安時代        3.9%
第8位 新島(山本)八重(にいじま やえ)/幕末     3.4%
第9位 お市(おいち)/戦国時代             3.3%
同9位 細川ガラシャ(ほそかわ がらしゃ)/戦国時代   3.3%

ランキングの特徴

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・なんと1位は、卑弥呼。

240年代に邪馬台国に都をおいていた倭国の王(女王)です。
呪術によって国を治めていたという伝説の人物であり、また神のお告げを聞けるシャーマンでもあったようです。
「ミステリアス」であることが現代でも女性の魅力のひとつかもしれませんね。

・1位、2位と5位のひとり小野小町を除き7人がNHK大河ドラマに登場したことのある人物ですね。

やはり、歴史好きには大河ドラマファンが多いということでしょうか?

第7位の巴御前(ともえ ごぜん)は、あまり名前を聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、2005年の大河ドラマ「義経」に出てきました。

巴御前は、源義仲(木曽義仲)の家臣にして恋人であり、美しいだけでなく武芸に優れた女性で、北陸を拠点とする義仲が1180年代に平家打倒のため挙兵した際にも、従軍し活躍します。
ドラマでは、小池栄子さんが巴御前を演じていましたが、周りを圧倒する迫力で当時話題にもなりました。

尊敬される女性は「強さ」を持ち合わせていることが条件なのかもしれません。

・また大河ドラマに登場した7人とも、武家出身の女性です。

9位の信長の妹であるお市と、同9位である光秀の娘にしてキリシタンである細川ガラシャは自身の定めに殉じて非業の最期を迎えますが、彼女たちに共通するのは武家の家に生まれた「潔さ(イサギヨサ)」であり、自身に対する「誇り」なのだと思います。

・3位の北条政子源頼朝の正室「情熱」と「統率力」両方を持ち合わせていた人物でした。

・4位のおね豊臣秀吉の正室でした。

おねは自身の子供こそ産まなかったものの秀吉の家臣や親族の面倒見がよく、慕われていた存在でした。
おねの魅力は、「母性」と「頼りがいのある」点だったのではないでしょうか?

 

外国人が尊敬する日本人女性ランキング

ベスト50の内、女性でランクインした人

選ばれた6人

1)第5位:紫式部(むらさき しきぶ)作家
2)第7位:草間彌生(くさま やよい)芸術家
3)第14位:オノヨーコ(おの ようこ)芸術家
4)第32位:緒方貞子(おがた さだこ)学者
5)第37位:宇多田ヒカル(うただ ひかる)ミュージシャン
6)第39位:小池百合子(こいけ ゆりこ)政治家

ランキングの特徴

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・尊敬する日本人女性の中で、トップを獲得したのが紫式部でした。

紫式部は誰もが認める才人で、式部が執筆した「源氏物語」は、時代を超えて国内だけでなく海外でも広く読まれています。
やはり、「聡明」であることが、尊敬を受ける必須条件なのかもしれません。

・紫式部を除いてノミネートされた他の5人はすべてが現代人でした。

・6人すべてに共通するのは、その業界でトップレベルの人である点と自分の考え方を貫く
「パワーと一途さ(いちずさ)」があります。

・また、6人とも既婚者、あるいはパートナーを持っていた人である点も挙げられますし、「感性が豊か」で芸術、音楽、文学や語学的に優れ、「才能があり、自分を表現するのに長けた手段を持つ人」ばかりですね。

・紫式部を除きあとの5人は、比較的マスコミでも取り上げられる人が大半ですが、緒方貞子さんは若干、前の世代の方になるため補足でご説明しましょう。

緒方貞子

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緒方さんは、1927年に東京で生まれで父親は外交官、曾祖父は総理大臣も経験した犬養毅という環境に生まれます。
米国のジョージタウン大学およびカリフォルニア大学バークレー校の大学院で学び政治学の博士号を取得します。

語学力に優れ、国際基督教大学や上智大学で教鞭を取り、上智大学では国際関係研究所長や外国語学部長などを務めました。

1975年には女性国連公使第1号となり、国際連合児童基金 (UNICEF) 執行理事会議長、国際協力機構 (JICA) 理事長も務めました。

まだ、男性中心であった1970年代や1980年代に国連で活躍することになった緒方貞子はその後の女性の活躍する時代への入り口を開いた人と言えるでしょう。

 

歴史雑誌社とTV番組の外国人のアンケートでどちらにもランクインしたのは誰?

雑誌社の「歴史上好きな女性」とTV番組の「外国人が選ぶ歴史上尊敬する日本人」両方でランクインした人が一人だけいました。

紫式部です。

「好きな歴史上の女性人物」では第2位、「外国人が選ぶ歴史上尊敬する日本人」では女性では第1位(男女混合では第5位)でした。

紫式部は何をした人?

紫式部は平安時代978年に生まれたと言われています。

父親は、藤原為時(ふじわらのためとき)で、藤原北家の名門の出でした。
幼いときから、父親に漢学・音楽・和歌の英才教育を受けて、才能はまわりから認められていました。

式部は、22歳のとき、結婚して娘ももうけますが、2年後24歳のとき夫が死没。
夫の死後、「源氏物語」の執筆を始めたと言われています。

30歳のときには、中宮彰子のところへ出仕。
翌年の31歳のころに「源氏物語」がほぼ完成したと言われています。
ですから、「源氏物語」を完成させるために約7年をかけたことになります。

記録によれば、少なくとも36歳になるまで宮仕えを続けていました。
そして、40歳前半で亡くなったと伝えられています。

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紫式部はどんな人だったの?

ひとことで言うと負けず嫌いで、まじめで、少し内気頑張り屋さんだったと伝えられています。

「源氏物語」は言い方を変えれば、不倫ラブストリーの中に宮中の派閥争いなどを盛り込んだセレブ恋愛物語で、夫が亡くなった年に執筆を始めてるわけですから、若干、妄想女子的な部分があったのかもしれません。

しかもシングルマザーで30代半ばまで宮中で仕事をこなすわけですから、今でいうキャリアウーマン的な部分もあったのかもしれません。

源氏物語の登場人物にはそれぞれのモデルになる人がいると言われていますが、葵上のモデルは紫式部自身で、自分の理想の姿を描きこんだのではないかとも言われています。

よく、源氏物語と清少納言は比較されますが、清少納言の方はともかく、紫式部は清少納言のことをかなり意識していたようです。

紫式部には、日記を書く習慣があり現在残されている「紫式部日記」の中には、清少納言や和泉式部に対する辛口の人物批判も含まれています。

紫式部が仕えていた彰子が中宮になったのは後のこと。
元々は清少納言が仕える中宮定子が正室的な役割の妃(きさき)でした。

当然、中宮定子のまわりには、清少納言をはじめとする才色兼備で華やかな女性たちが集められていました。

実際に清少納言は性格も比較的サッパリしていて人気のある女性だったようです。
それに対して、紫式部はどこか内気で宮中の雰囲気になんとなくなじめない自分に若干のコンプレックスを持っていたのかもしれません。

いずれにしても、紫式部がとびぬけた才能を持った「知性の人」であったことは間違いありません。

 

著者の見解

ふたつの記事のランキングを見ていくと、日本史上、尊敬される人物は、それぞれの魅力があるということを感じました。

具体的には、「ミステリアスさ」であったり、「強さ」であったり、「潔さ(イサギヨサ)」であったり。
「情熱」や「統率力」、「母性」や「頼りがい」も尊敬される女性の特質なのでしょう。

外国人の感性からすると、「感性が豊か」で、「才能があり、自分を表現するのに長けた手段を持つ」人が尊敬の対象の要素になることがわかりました。

日本人からも外国人からも好かれて尊敬さえる人は、今回見た資料のなかでは、紫式部でした。

世代を超えて内外を問わず今でも読まれている「源氏物語」は日本の文学史上、最高傑作のひとであり、「知性の人」紫式部が尊敬の対象になることは、納得のいくところでしょう。